「線の上を切ってね」と伝えているのに、途中からどんどんずれてしまう。
何度か続けて切ると、切り口がガタガタになる。
直線は切れるようになってきたのに、斜め線や角になると急に難しくなる。
家ではさみの練習をしていると、こんなところでつまずくことがあります。
そんなとき、同じ線を何度も練習する前に、一度できるところまで戻ってみるのも一つの方法です。
はさみで線に沿って切るためには、はさみを開いて閉じるだけでなく、前に切ったところから次へつなげたり、反対の手で紙を支えたり、線の向きに合わせて紙を動かしたりする必要があります。
「長い線はうまく切れないけれど、1回なら切れる」
「直線なら切れるけれど、斜め線から難しくなる」
というように、どこまではできているのかを見てみると、今練習したい動きが分かりやすくなります。
この記事では、
1回切り → 2回切り・3回切り → 長い直線 → 斜め線 → 角
と一つずつ戻りながら、どこを見ればよいのかを紹介します。


うまく切れないときは「どこまでできる?」を見てみよう
一度はさみを閉じるだけなら切れるのに、2回、3回と続けると難しくなる。
短い線なら切れるのに、長くなるとうまくいかない。
直線なら切れるのに、斜め線や角になると線から外れてしまう。
このような場合、すべてを「はさみが苦手」と考えなくてもよいかもしれません。
切る距離や線の形が変わると、それまでにはなかった動きが少しずつ加わっていくからです。
そこで、うまくいかないところを繰り返すのではなく、
1回切り
はさみを開いて閉じる
2回切り・3回切り
前に切ったところから次へつなげる
長い直線
切り進みながら、紙を持つ手も動かす
斜め線
紙の向きを変える
角
いったん止まり、紙の向きを変えて次へ進む
と、一つずつ見てみます。
どこから難しくなったのかが分かったら、そこが今練習したいところです。
まずは1回切りまで戻って確認してみる
続けて切るとうまくいかない場合は、一度、はさみを閉じるだけで切れる「1回切り」まで戻ってみましょう。
ここで確認したいのは、まず自分ではさみを開いて閉じられているかどうかです。
速く何度も切る必要はありません。手元を見ながら、開く、閉じるという動きができているかを見てみます。
紙は、指が刃に近づきすぎないようにしながら、切る部分が大きくたわまない位置で持ちます。
また、はさみが切りたい方向を向いているかも確認してみましょう。
1回切りが安定しているなら、次の段階へ進みます。
続けるとガタガタするなら、2回切り・3回切りへ
1回切りはできているのに、続けて切ると切り口がガタガタする。
そんなときは、いきなり長い線を練習するのではなく、2回切り・3回切りまで戻ってみます。
ここで加わるのは、前に切ったところから次の切り口へつなげる動きです。
1回ずつ切ることはできていても、続けて切るためには、前に切ったところと次に切るところをつなげながら進む必要があります。
まず2回。
できたら3回。
短い距離で「続けて切る」ことを確認してから、少しずつ長い線へ進みます。
長い線だけ難しいなら、紙を持つ手も見てみる
2回、3回と続けて切ることはできるのに、線が長くなるとうまくいかない。
そんなときは、はさみを持っている手だけではなく、紙を持っている反対の手にも目を向けてみましょう。
長い線では、切り進むのに合わせて、紙を持つ手も少しずつ移動させる必要があります。
はさみを持つ手だけが先へ進み、反対の手が同じ場所に残ったままだと、だんだん紙を扱いにくくなります。
短い線は切れるのに長い線になると難しくなる場合は、「もっとまっすぐ切ろう」と繰り返す前に、両方の手が一緒に動いているかを見てみてください。
直線は切れるのに斜め線でずれるなら、紙の向きを見る
長い直線まで切れるようになっているのに、斜め線になると線から外れてしまう。
ここでは、新しく紙の向きを変える動きが加わります。
斜めの線を見ると、線の方向に合わせて、はさみそのものを斜めへ動かしたくなることがあります。
でも、基本ははさみではなく紙を動かします。
はさみは自分の前に向けたまま、反対の手で紙の向きを変え、切りたい線をはさみに合わせます。
直線が切れているのであれば、その力を使えるように、紙の方を動かして切りやすい向きにしていきます。
この紙を動かす操作は、次の「角」でも必要になります。
角が難しいなら「切る」と「向きを変える」を分ける
次は、角の切り方です。
直線や斜め線は切れるのに、角で線から外れたり、うまく方向を変えられなかったりすることがあります。
角では、途中で進む方向が変わるため、
切る → 止まる → 紙を動かす → また切る
という動きが必要になります。
まずは角まで切り進み、方向を変えるところでいったんはさみを止めます。
そのあと、はさみの向きを次の線に合わせて変えるのではなく、反対の手で紙の向きを変えます。
次の線を切りやすい位置に合わせたら、もう一度切り始めます。
角で難しくなっている場合は、「切りながら曲がる」のではなく、いったん止まってから紙を動かすことを確認してみましょう。
「もっと練習」より、今難しい一つを見つける
線から外れると、
「線をよく見て」
速く切っていると、
「もっとゆっくり」
紙がうまく動いていないと、
「紙も持って」
と、いろいろ伝えたくなることがあります。
でも、一度にいくつものことを言われると、子どもは何を変えればよいのか分かりにくくなることがあります。
そんなときは、
「1回切りはできているかな?」
「続けて切るところから難しいのかな?」
「長くなったところかな?」
「斜めになったところかな?」
と、どこまではできているのかを見てみましょう。
そして、そのとき練習することを一つに絞ります。
できたら、次の一つへ。
難しくなったら、また一つ前へ戻って構いません。
段階を戻って練習できる「はじめてのはさみ切りセット」
「今どこで難しくなっているのか」を見るためには、練習する課題そのものも、少しずつ難しくなっていると取り組みやすくなります。
ココエデュの「はじめてのはさみ切りセット」は、
1回切り → 2回切り → 3回切り → 直線 → 斜め線 → 角
と、段階的に取り組めるように作っています。
「長い線がうまく切れないから、2回切りへ戻ってみよう」
「直線はできているから、斜め線を練習してみよう」
というように、今のお子さんの様子に合わせて使えます。
順番にすべて終わらせることが目的ではありません。
難しくなったら前へ戻り、「ここならできる」というところから、もう一度始めてみてください。
できるところまで戻ることも、はさみ練習の一つ
はさみがうまく切れないとき、「もっとたくさん切れば上手になる」と考えることもあると思います。
でも、同じ「うまく切れない」でも、難しくなっている動きは子どもによって違います。
1回切りはできる。
2回、3回になると難しい。
長い直線から難しい。
斜め線から難しい。
角で難しくなる。
まずは、どこまではできているのかを見つけてみましょう。
できるところまで戻るのは、後戻りではありません。
そこから必要な動きを一つだけ増やしていくことで、次の「できた」につなげていきます。

